工場見学めぐり

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京都の老舗、コタツ布団工場へ行ってきました!

タケオカ スタッフ:タケオカ

1200年の歴史と伝統が受け継がれてきた古都、京都。当店で扱うこたつ布団は、そんな京都の地で一つひとつ心を込めて作られています。
今回は工場での作業の様子と、職人さんの布団づくりに対する思いについてご紹介しましょう。

ものづくりの街・京都市

ものづくりの街・京都市

西陣織や友禅染をはじめ、繊維産業が盛んな京都。一流の旅館や料亭、社寺、茶道や華道の家元が多いことから座布団や寝具の需要が高く、寝装具メーカーが軒を並べてきました。当店オリジナルのこたつ布団も、そんな京都市の伏見で100年近く続く老舗のお布団工場で作ってもらっています。長年受け継がれてきた技を生かして、質の高い布団に仕上がっています。

まずは、生地を裁断

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こたつ布団づくりは、まず生地の裁断からスタートします。

生地をこたつ布団のサイズに合わせておおまかにカットした後、定規を当てながら正確なサイズにラインを引いて裁断していきます。使い慣れたハサミですっと生地を裁っていく手さばきからは、経験に裏付けられた潔さが感じられます。

 


家具の里のこたつ布団は正方形、長方形、円形の3タイプ。円形タイプの場合は専用の型紙に沿って切ります。

 

大きな布を裁断する時は、吊るしてサイズを測ってからカットします。

商品のサイズによっては生地の縫い合わせが必要になることもあるので、デザインのつながりを意識しながら裁断していきます。

ミシンでていねいに縫製

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裁断が終わったら生地の角をきっちりと合わせて、まず裏面からミシンで縫っていきます。

生地がよれないように引っ張りながら。ていねい、かつスピード感のある職人技です。

 

その後生地をひっくり返して、表面からもう一度縫製。ミシンを巧みに操作しながら、形づくっていきます。正方形や長方形タイプの場合は、角が出やすいようにきちんと折り曲げてからひっくり返すのがコツなのだそう。

キルトラインの印をつける

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縫製が終わったら、綿を入れる前にキルト加工の位置を確認します。キルト加工とは、表布と裏布の間に綿などをはさんでミシン縫いをすること。実はこのキルト加工こそが、仕上がりの“ふっくら感”と保温効果を左右するといっても過言ではないのだとか。
「このサイズならこの位置に、こういう間隔でキルトラインを入れる」と、職人さんの頭の中で計算をして、定規を使いながら的確に印を付けていきます。

隅々まで綿を入れてふっくらと

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いよいよ、中綿を入れる工程に!綿には熱伝導率が低く、熱を放出しにくい性質があるので、こたつ布団にぴったりの素材です。

 

綿入れの時に、均等に綿を入れないと仕上がりに偏りが生まれます。かと言って、量を調整するために何度も綿をちぎっていると、今度は綿が痛んでしまうことに……。一度に必要な分量を見極めるのがポイントだそう。これぞ、経験がものをいう職人技ですね。

 

綿を三層に重ねて、端や角はしっかりと強くして、たっぷりと厚みを出します。「中綿がよれず、どこから入っても同じようにふかふかしている」「ふっくらと優しく包んでくれて、ほかほかと温まる」といったお客様の声がいただけるのもうなずけます。

 

くるっとひっくり返して表面を出したら、角まで綿がしっかり入っているか確認します。

キルト加工は巨大なミシンで

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最後に、巨大なミシンを使って綿の入った分厚い布団を縫います。前の工程で付けておいた印に沿って、綿がずれないようにしっかりと手で押さえ、ていねいに縫い進めます。

まず直線を縫い、その後、布団を直角に回転させながらミシン掛け。大きな布団を扱うため、大変そうな作業でした。

職人さんにお話を聞きました

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工場長の原さんは、東京の布団技術学校を卒業し、この道40数年になるベテランの職人さんです。
そんな原さんにとって、一番難しい工程は綿入れなのだとか。
「綿は、いじりすぎると綿そのものが荒れしてしまうから、一度で分量を決めるのが大事。とにかく経験を積んで手で覚えることが大切です」。
計量せず、長年培ってきた感覚で綿の量を決めていく作業は、まさに神技でした。

また、この仕事を通してやりがいを感じるのはどのような時か尋ねると、

「お客様が商品を気に入って、繰り返し買ってくださったと聞くと、とてもうれしい。これからも、ていねいに、一つひとつ心を込めて作っていきたいです」と語ってくれた原さん。

どんなに経験を積んで年数が経っても、“お客様に喜んでもらうために”という初心を忘れることのない姿に、職人魂を感じたひと時でした。